会ったことのない相続人がいる場合の進め方|音信不通でも遺産分割を成立させた事例【宇部市の行政書士が解説】

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「亡くなった父に、先妻との間の子どもがいると聞いていたけれど、会ったことも連絡を取ったこともない」 「相続手続きを進めようと戸籍を取り寄せたら、確かに知らない兄弟の名前があった」 「その人と連絡を取りたいけれど、所在が分からない」

相続のご相談を受ける中で、こうした「会ったことのない相続人」「音信不通の相続人」に関するお悩みは、決して珍しいケースではありません。

特にお父様・お母様が再婚されているご家庭では、先妻(先夫)との間にお子さんがいることを聞いてはいたものの、実際の所在や連絡先が分からないまま長年が過ぎていた、というケースは多くあります。

本記事では、宇部市にお住まいのお客様からご依頼いただき、存在は知っていたものの、所在も連絡先も不明だった「先妻のお子さん」と無事に遺産分割協議を成立させた実例をご紹介します。

同じようなお悩みを抱えている方の参考になれば幸いです。

※ 本記事は守秘義務に配慮し、年齢・人数・地名・財産規模等は事実と異なる形に変更しています。同様のケースを含めた、当事務所での実務対応の一例としてご紹介します。


目次

1. ご相談内容|「存在は聞いていたが、会ったことがない兄弟」

ご家族構成

今回ご相談にお越しになったのは、宇部市内にお住まいのご長男のAさんでした。

お父様が高齢で亡くなられ、相続手続きを進める段階で、Aさんから当事務所にご相談がありました。

実はAさんは、生前のお父様から「先妻との間に子どもが1人いる」と聞かされていたとのことです。ただし、その方とは一度も会ったことがなく、現在どこに住んでいるのか、どんな生活をされているのかは全く分からない状態でした。

戸籍を取り寄せて確認したところ、確かにお父様には先妻との間にお子さん(Aさんから見ると異母兄弟)が1人いることが、書類上も確認できました。

ご家族構成は以下の通りでした。

  • 被相続人:お父様
  • 相続人①:お母様(被相続人の現在の妻)
  • 相続人②:Aさん(ご長男)
  • 相続人③:次男のBさん
  • 相続人④:先妻との間のお子さん(存在は聞いていたが、所在・連絡先は不明)

Aさんが抱えていた不安

Aさんが当事務所にご相談に来られた時点で、以下のような不安をお持ちでした。

  • 存在は知っていたが、一度も会ったことがなく、人柄も分からない
  • どこに住んでいるのか分からない、連絡手段がない
  • 突然連絡したら、不快に思われたり、トラブルになったりしないか
  • 「今さら何の用だ」と門前払いされるのではないか
  • 仮に連絡が取れたとして、遺産分割の話し合いはまとまるのか
  • 家庭裁判所に申立てが必要なのか、自分たちで進められるのか
  • このまま放置しても良いものなのか

父からは話を聞いていたものの、いざ自分たちで連絡を取るとなると、何から手をつけていいか分からなくて…」と、不安そうにお話しされていたのが印象的でした。


2. 法律上のポイント|「相続人全員の合意」が絶対条件

遺産分割協議は相続人全員でないと無効

遺産分割協議は、法定相続人全員が参加しないと法的に無効になります。

これは民法で定められたルールで、「会ったことがないから」「連絡が取れないから」という理由で除外することはできません。

仮に連絡を取らずに一部の相続人だけで遺産分割協議書を作成しても、後日その相続人から「自分は参加していない」と主張されれば、協議は無効となり、銀行手続きや不動産の名義変更もすべてやり直しになります。

遺産分割協議の詳しい進め方はこちら

連絡先不明な相続人がいる場合の選択肢

連絡先不明な相続人がいる場合、法律上は以下のいずれかの対応が必要です。

対応方法内容
①戸籍の附票から所在を調査戸籍を辿って現住所を特定する(正攻法)
②不在者財産管理人の選任家庭裁判所に申立てが必要、時間と費用がかかる
③失踪宣告7年以上の音信不通など要件が厳しい

実際のところ、①の所在調査で連絡先が判明するケースが大多数です。

戸籍には本籍地の情報が記録されており、戸籍の附票には住民票上の住所の履歴が記録されています。これらを丁寧に辿ることで、ほとんどのケースで現住所を特定できます。


3. 当事務所の対応プロセス|8つのステップで解決

Aさんからご依頼を受けてから、解決に至るまでの実際の流れをご紹介します。

STEP1:戸籍調査による所在の特定

まず、お父様の出生から死亡までの戸籍を全て取り寄せ、先妻との間のお子さんの戸籍を追跡しました。

具体的には以下の作業を行いました。

  • お父様の本籍地の市役所から戸籍謄本・除籍謄本を順次取得
  • 先妻との婚姻当時の戸籍から、お子さんの本籍地を特定
  • お子さんの戸籍の附票を取り寄せ、現住所を特定

宇部市内・山口県内であれば直接窓口で取得できますが、お子さんは県外にお住まいだったため、郵送請求で対応しました。所要時間は約2週間でした。

戸籍収集の大変さについてはこちら

STEP2:ご相談者様との対応方針の打ち合わせ

戸籍から現住所が判明した時点で、Aさんと改めて面談しました。

  • いきなり訪問するのではなく、まずはお手紙でご連絡する方針に
  • 手紙の文面は当事務所で作成し、Aさんに確認していただいてから送付
  • 手紙の送り先はAさんとし、当事務所は間に入るというより影からサポート
  • 返信用封筒を同封し、相手の負担を最小限に

こちらの誠意が伝わる文面にしたい」というAさんのご意向を踏まえ、丁寧な文面を心がけました。

STEP3:手紙でのご連絡

作成した手紙の主な内容は以下の通りです。

  • お父様がお亡くなりになったこと
  • 突然のご連絡となり、驚かせてしまったことへのお詫び
  • 相続の手続きについて、一度お話を伺いたいこと
  • 連絡方法は、お手紙でもお電話でも、ご都合の良い方法で構わないこと

手紙を送ってから約10日後、お子さんからAさんに電話がありました。

STEP4:先方との進め方についてアドバイス

お電話では、Aさんからお父様が亡くなったことや遺産分割協議を行うことに対し、現状のご意向を伺うようにアドバイスさせていただきました。

幸い、お子さん側も以前から「父のことは気になっていた」というお気持ちがあり、相続のお話し合いには応じていただけるとのことでした。

その後、Aさんとお子さんがメールでやり取りを行い、直接お会いする段取りが整いました。

当事務所でメールの文面や進め方についてもアドバイスさせていただきました。

STEP5:Aさんとお子さんの面会

Aさんが県外のお子さんの住む地域まで訪問し、ご面会されました。

面会では、Aさんからお父様の晩年のご様子や、ご家族の状況をお伝えし、お子さんからもご自身のお気持ちをお話しいただいたとのことです。

その上で、遺産分割の方針について率直にお話し合いいただきました。

STEP6:遺産分割協議の方針決定

ご面会の結果、お子さんから「法定相続分は求めない、ご家族で守ってきた財産は皆さんで分けてほしい」というお話があり、寸志(しんし)としてのお気持ちを受け取る形で合意に至りました。

法律上は法定相続分(このケースでは1/8)の権利がありますが、ご本人のご意向を尊重し、寸志相当の金額をお渡しすることで、相続人全員が納得する形での遺産分割協議が成立しました。

STEP7:遺産分割協議書の作成と署名押印

合意内容に基づいて、当事務所で遺産分割協議書を作成しました。

  • 4名の相続人全員の合意内容を明記
  • お子さんの分は「寸志として◯◯円を受領する」と明確に記載
  • 各相続人の署名・実印の押印欄を設置

書類はAさんを通じて全員に送付し、署名押印をいただきました。お子さんへの送付は、当事務所から直接、Aさん宛の返信用封筒を同封して郵送する形を取りました。

STEP8:金融機関・不動産の名義変更手続き

遺産分割協議書が完成した後は、以下の手続きを当事務所で代行しました。

  • 山口銀行・西京銀行・ゆうちょ銀行の口座解約・払戻し
  • 不動産の名義変更(提携司法書士が対応)
  • 未登記家屋の変更届

ご依頼から完了まで、約4ヶ月でした。


4. 解決のポイント|なぜスムーズに進んだのか

このケースで遺産分割協議が円満に成立した要因は、以下の3点だと考えています。

ポイント①:専門家のサポートにより円滑な手続きを実現

ご家族同士、ましてや会ったことのないご親族との間に、いきなりお金の話を持ち込むのは、双方にとって心理的な負担が大きいものです。

当事務所では、Aさんが安心して次の一歩を踏み出せるよう、以下のサポートを行いました。

  • 戸籍を一式取り寄せ、相続人を正確に確定
  • 戸籍の附票で先方の現住所を特定
  • お手紙を出される際の文面の参考例をご提供
  • 想定される返答パターンと、それぞれの場合の進め方をご説明
  • 遺産分割協議書のドラフトを作成
  • 各金融機関の必要書類リストをご準備

行政書士が専門家の立場から依頼者の相談・サポートを行うことで、

  • 突然の連絡で相手を警戒させずに済む
  • 客観的な立場で必要事項を説明できる
  • 連絡や書類のやり取りを丁寧に進められる

Aさんご自身が「何をすればいいか分かる」状態にすることで、ご家族が主体的に行動できる環境を整えました。

ポイント②:「いきなり訪問」ではなく「手紙→様子を見て次の段階へ」の段階的アプローチをご提案

連絡先が判明したからといって、いきなり訪問することは絶対に避けるべきでしょう。

相手の方からすればAさんたちは「会ったこともない異母兄弟」です。見ず知らずの人物が突然訪ねてきて「相続の話があります」と言われたら、警戒するのが普通です。

当事務所からは、以下のような段階的なアプローチをAさんにご提案しました。

  • まずは丁寧な手紙でご連絡する
  • 相手のペースでお返事をいただくのを待つ
  • お返事の内容を踏まえて、お電話または面会の段取りを検討
  • 最終的に面会の機会を作る

実際にお手紙をお送りし、相手の方とお会いになるのはAさんご本人です。当事務所は手紙の文例提示や送付方法のアドバイスといった事務面のサポートに徹し、ご家族同士の関係構築はAさんに主体的に進めていただきました。

ポイント③:法定の手続きと書類作成を、正確かつスピーディーに

ご家族が話し合いを進めている間、当事務所では並行して以下の準備を進めていました。

  • 戸籍関係書類の収集・整理
  • 相続関係説明図の作成
  • 財産目録の作成
  • 各金融機関での手続きに必要な書類の事前確認
  • 遺産分割協議書の文面準備

これにより、Aさんとお子さんとの間で合意が得られた段階で、すぐに遺産分割協議書の最終化・各種手続きへ進める状態を整えていました。

書類は専門家がしっかり用意してくれているから、自分はご家族との話し合いに集中できる」という安心感が、結果的にスムーズな解決に繋がったと考えています。


5. お客様の声

父からは『先妻との間に子どもがいる』と昔から聞いていましたが、会ったこともないし、どこで何をしているのかも全く分からない状態でした。

父が亡くなって相続手続きが必要になった時、『あの人にどうやって連絡を取るんだろう』『揉めることになったらどうしよう』と、不安ばかりが先に立っていました

やまぐち相続コンシェルジュさんに相談して良かったのは、自分たちが何をすべきか、順を追って整理してくださったことです。戸籍も全部取ってくださって、手紙の文面についても相談に乗っていただきました。

『これだけ書類が揃っていれば話を進められる』と思えたことで、相手の方にお会いする時も落ち着いて臨めました。

費用も最初にしっかり見積もりを出していただいたので、安心して任せられました。本当にありがとうございました」

(宇部市・ご長男・Aさん)


6. 同じケースで注意すべきこと|失敗パターンと回避策

似たようなお悩みをお持ちの方が、ご自身で進める前に知っておいていただきたい3つの注意点をお伝えします。

注意①:相続放棄したと思い込まないこと

もう何十年も連絡を取っていないから、向こうも相続を放棄しているはず」と考える方がいらっしゃいますが、これは大きな誤解です。

相続放棄は、家庭裁判所に正式な申立てをしないと法的効力を持ちません長年音信不通だっただけでは、その方は依然として相続人です。

連絡を取らずに進めると、後日問題が発覚した時に手続きの全てがやり直しになります。

注意②:感情的な手紙を送らないこと

ご家族の側からすれば、「今さら何の権利があって」というお気持ちが出てくるのも自然です。

しかし、最初の連絡で感情的な内容を送ってしまうと、相手も身構えてしまい、その後の話し合いが進みにくくなります。

専門家を通じて、事実と必要事項を淡々と伝えることが、結果的に円満解決への近道です。

注意③:相続税の申告期限に注意

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなってから10ヶ月以内です。

連絡先不明な相続人がいる場合、所在調査→連絡→話し合い→遺産分割協議書作成と、通常より時間がかかります

申告期限を過ぎると追徴課税のリスクがあるため、早めに専門家へ相談することが重要です。今回のケースも、ご依頼から完了まで4ヶ月かかったため、相続発生から半年経過してのご依頼だと、間に合わなかった可能性もありました。

相続税申告の流れについてはこちら


7. よくあるご質問

Q1:戸籍だけで相手の現住所は本当に分かりますか?

A. ほとんどのケースで判明します。戸籍の附票には、住民票上の住所の履歴が記録されているためです。

ただし、相手の方が住民票を異動せずに長期間転居されている場合や、海外に転居されている場合は、追加の調査が必要になることもあります。

当事務所では、戸籍・附票の取得代行を承っております。

Q2:相手から「相続を放棄したい」と言われたらどうすればいいですか?

A. 相続放棄は家庭裁判所への正式な申立てが必要です。口頭やお手紙で「放棄します」と言われただけでは、法的効力はありません。

ご本人に家庭裁判所への申立てをしていただくか、もしくは「法定相続分は受け取らない」という内容で遺産分割協議書に署名押印をいただく方法があります。

相続放棄の3ヶ月期限についてはこちら

Q3:相手が話し合いに応じてくれなかったらどうしますか?

A. お手紙でのご連絡に応じていただけない場合や、お話し合いが対立的になりそうな場合は、弁護士による交渉や家庭裁判所での調停が必要な領域となります。

行政書士は書類作成・手続代行が中心となるため、相続人間の交渉や調停代理は弁護士の専門業務です。当事務所では、状況に応じて提携の弁護士をご紹介いたします。

揉めるかどうか分からない段階」「どの専門家に頼めばいいか分からない」というお悩みも、まずはお気軽にご相談ください。

Q4:このようなケースの場合、相続手続きの費用はどのくらいかかりますか?

A. 当事務所では、お客様の状況に応じて事前にお見積りをご提示しています。

今回のように戸籍調査・手紙でのご連絡・遺産分割協議書作成・金融機関手続きまでまとめてご依頼いただく場合、おおよそ20万円〜30万円程度が目安です。

不動産の名義変更は提携司法書士の費用、相続税申告は提携税理士の費用、弁護士が必要な場合は提携弁護士の費用が別途かかります。最初にトータルの費用感をご説明いたしますので、安心してご相談ください。

初回相談(60分)は無料ですので、まずはご状況をお聞かせください。


まとめ|「会ったことのない相続人」がいても、円満な解決は可能です

先妻(先夫)のお子さん」「音信不通の親族」など、会ったことのない相続人がいる場合でも、正しい手順を踏めば円満に遺産分割を進めることは可能です。

大切なポイントは以下の3つです。

  • 戸籍調査でほとんどのケースで所在は判明する
  • いきなり訪問せず、手紙→様子を見て次の段階へと丁寧に進める
  • 法定相続分にこだわらず、ご家族同士で全員が納得できる形を一緒に探る

ご自身だけで進めようとすると、戸籍の取り寄せだけでも何十通もの請求が必要だったり、手紙の文例で迷ったり、書類作成で時間が取られたりと、想像以上に負担が大きいテーマです。

やまぐち相続コンシェルジュ(BIZARQ行政書士法人)では、宇部市・山口県内を中心に、こうした「ちょっと複雑な相続」の書類作成・手続代行を多数手がけております。ご家族が主体的に動かれる過程を、事務面から徹底的にサポートいたします。

必要に応じて、提携の弁護士・司法書士・税理士もご紹介しますので、お客様の状況に応じた最適な専門家チームでサポートが可能です。

自分のケースはどうなんだろう?」と少しでも不安をお感じでしたら、まずはお気軽にご相談ください。初回相談は60分無料でお伺いします。

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この記事を書いた人

やまぐち相続コンシェルジュ 代表
(BIZARQ行政書士法人の代表行政書士)
30代で双子の兄(社会保険労務士)とともに士業事務所を開業。4年目で法人化とともに、弁護士・税理士・会計士・社労士・行政書士の総合士業グループのBIZARQグループへ参画。個人向けの遺言・相続手続きから法人向けの許認可申請手続きまで幅広く扱う。

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